農style fileVol.4

2009.11.20 UP

home > 農style file > Vol.4 本当に大切なのは「つくる人」。そして「つくる人」を増やすために今できること。

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三田村雅人さん

本当に大切なのは「つくる人」。

そして「つくる人」を増やすために今できること。

全てのものに命がある。
そして農業はその命を育む仕事である。

子供の頃から虫が嫌いなのに、虫と直面する機会が多い無農薬栽培をしている面白い農家がいる。由仁町の三田村雅人さんだ。先日お邪魔した時には、キャベツの葉の間に潜んでいた虫をつまみ上げて虫についての説明をしていたが、長年の無農薬栽培の経験で虫嫌いは克服できたのだろうか?
米農家の4代目として当たり前のように農家を継いだ三田村さんは、平成元年に参加した「移動村づくり大学」という農業研修が大きな転機となり、その直後から有機栽培での野菜づくりを始めた。当初は、病害虫の被害に遭ったり、ほとんど収穫できないこともあったり。有機にしたからといってすぐに美味しい野菜ができるわけではない。という厳しい現実も味わった。単に安全や味だけを求めてはいけない、農薬や化学肥料が全て悪いわけではなく、怖いのはそこに多くの生命が宿っていることを知らずに、害虫も益虫も皆殺しにしてしまうこと。研修で学んだ「全てのものに命がある。そして農業はその命を育む仕事である。」という言葉の意味を、身を以て学んでいった。

生産者と消費者の「心のつながり」

現在は、野菜はほぼ全て農薬や化学肥料を使わずに、お米はどうしても必要な時だけ最低限の農薬を使用するという方法で栽培。その全ては直売されていて、お米は1年間必要な分を予約して毎月送ってもらうことができる。順調に予約数が伸びる中、今年は冷夏の影響で収穫量が3割程足りなくなってしまった。悩んだ結果、近隣の農家のお米を出荷しても良いかどうか、了承をもらっている最中だという。その返信の中に、「もちろん良いですよ。三田村さん達のような生産者が困っている時に、私たち消費者はどうやって応援したら良いのですか?」というメッセージが混ざっているという。「僕達はプロの生産者なのだから、全てを天気のせいにしちゃダメなんです。」と自分の技術不足を反省しながらも、大変ありがたいことだと三田村さんは言う。生産者と消費者のこういう心のつながりこそが、三田村さんが目指してきたものだ。

やっと見つけた自分の農業「由仁ふれあい農業小学校」

約20年前から有機栽培に取り組み、10年前には収穫体験農園を開設。それでも三田村さんは自分の農業に満足はしていなかった。消費者ともっと繋がりたい、もっと分かり合いたいと悩んでいたある日、インターネットの中で見つけたのが「農業小学校」。そこには三田村さんが探していた世界が広がっていた。「収穫」という楽しい部分だけを体験するのではなく、みんなが土と戯れながら「つくる」ということにチャレンジしていた。それを北海道の由仁町で出来るよう自分なりにアレンジしたのが「由仁ふれあい農業小学校」だ。
畑の自分の区画に、自分で肥料を撒き、自分で耕し、種を蒔き、間引きに雑草取り、そして収穫。5月から10月まで2週間に1度、最初から最後までを自分で手がける本格的な農業体験。

初年度「農業小学校」という面白い取り組みに興味を持った新聞記者が書いてくれた、「手汚しませんか?」という印象深い見出しの取材記事に多くの人が集まって以来、今年で8年目、延べ250組以上の人が参加している。その中にはいつまでも卒業せずに毎年畑に通ってくる人や、本格的な自分の畑を借りて札幌から通っている人、由仁町が気に入って移住してきた人も居るという。 大人も子供も一緒に学び分け合う取り組みにしたかったというこの畑では、野菜づくりの技術的なことは三田村さんが先生役だが、逆に教えられることも多いという。機械を使わずに畑と真剣に格闘する皆の姿は、三田村さんが農業の原点を見つめ直すきっかけにもなった。汗を流した後のホッとする瞬間、つい本音がこぼれる会話、農業がきっかけで集まった人々が、仲間という輪へ変化していく。畑の中での生命の循環を、人と人との心のつながりを、この場所では誰が教えるともなく皆が自然と感じ取っていく。

本当に大切なのは「つくる人」

最近は、また農業が注目されるようになり、「情報発信や宣伝のお手伝い」や「売り先のお世話」など、生産者と消費者の間に入ってくれる人は増えてきたという。また、幼稚園や小中学校でも農業体験を取り入れるようになったり、美味しくて安全な野菜を「多少高くても買い支えますから頑張って下さい」と応援してくれる人もいたり。理解者が増えることはとてもありがたいこと。しかし、「つくる人」は増えていない。
「自分の子供や生徒が『農家になりたい』と言ったらあなたならどうしますか?その時はやはり『そんな大変な仕事をわざわざ選ばなくても』とつい言ってしまいませんか?『つくる人』がいなければ『間に入る人』の仕事もなくなってしまう、だから『つくる人』が大事なんです。」と三田村さんは語ってくれた。
いろいろな場所に「農業小学校」ができ、農業の素晴らしさをもっと多くの人に直に伝えることができれば、「つくる人」も増えてくれるはず。そうなればきっと農業は変わるし、消費者の意識も変わっていくだろう。 三田村さんは今、「農業小学校」の更にその先にあるものを見つめている。

取材・文 伊藤 新

写真 亀谷 光

ふれあい体験農園みたむら
夕張郡由仁町岩内2857
TEL/FAX:0123-87-3636
http://www1.ocn.ne.jp/~m-tomato/
三田村さんは、「由仁ふれあい農業小学校」など、多くの農園体験ツアーの受け入れも行っています。詳しくはホームページをご覧ください。
体験ツアーレポート

10/12に行われた農都共生研究会主催「林美香子と行く由仁町「三田村農園」でのプチ体験ツアー」の様子です。下の画像をクリックしてご覧ください。

晴天の中、札幌駅出発!まずは林さんから、参加者みんなで自己紹介をしました。雲は多いけど、大きな空が出迎えてくれました。こちらが園主の三田村さんです。まずはほうれん草の間引き作業の説明。みんな真剣に聞いています。やってみると意外と難しい。おじさん達も真剣です。「間引き分は持ち帰っていいよ」の声にみんなの目の色が・・・。作業の後はミニトマトのハウスでちょっとおやつタイム。あまーいトマトをいただきました。お昼ご飯の材料を収穫します。楽しくて、ついつい採りすぎちゃいます。根こそぎグイっと!ついでに落花生も。お昼には使いませんが・・・。お次は調理。男性陣が活躍中です。美味しそうな匂いについつい笑顔がこぼれます。この日は北大の農業系サークルAgeesの皆さんが、お手伝いに来てくれました。いっただっきま~す!みんな、食べているときが一番幸せそうです。近隣農家さんの直売コーナーも。食後には、林さんと三田村さんのトークショー。参加された方からもお話を伺いました。とっても楽しそうです。三田村さん。農産物のお楽しみ抽選会が、急遽輪投げ大会に。意外と難しいんです。最後はみんなで記念撮影。三田村さん家族がお見送り。どもありがとうございました~
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