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2010.05.21 UP

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vol.4

北海道の田舎暮らしを目指した
移住者が、メロンに魅せられ、
新規就農。

メロン農家 松本 祥典さん
1971年生まれ
京都市出身
introduction

メロンに魅せられ、富良野で就農した松本祥典さんは京都出身の移住者。メロンは形・味ともに作り手の個性が色濃く出る作物だそうで、「自分の作ったメロンは一目でわかります」とのこと。今やその言葉の端々から「メロン職人」という雰囲気を漂わせる松本さんだが、北海道へやってくるまでは、農業をやりたいという希望があったわけではない。元は旅人として北海道を好きになり、移住を決めたという。その就農への道のりは、少々遠回りだったが、その遠回りは逆にいい結果を招くことになった。

stage1 京都~富良野
北海道への移住

最初は北海道の田舎に住みたいという思い。

京都で生まれ育った松本さんは、大学卒業後京都西陣の生地問屋で働いていた。北海道は大学時代から旅でなじみが深く、いずれは北海道の田舎に住んでみたいと思っていたそうだ。1996年、その夢を実行すべく富良野へやってきた。富良野を選んだ理由はごく簡単。「富良野に行けば何か仕事があるだろう」ということ。ハローワークへ行って探したところ、農家のアルバイトに行き当たる。農関連の仕事を目指していたわけではないが、住み込みという条件が、京都からの移住者である松本さんには好都合だった。

stage2 中富良野町+富良野市
農家でのアルバイト

メロンに魅せられ、農家を目指す。

農家のアルバイトは中富良野町のメロン農家でスタート。そこで三年働くうちに他のメロン農家のやり方も学びたいと思い、メロンの名産地、富良野市山部の農家に移る。ここでメロンという作物に魅せられた松本さんは、農業への道を歩み始める。順調に栽培技術を学び、いざ自分のメロンをつくろう思ったとき、松本さんはどうすれば就農できるかがわからなかった。まず地元のJAに相談したところ、なんと門前払い。「(就農希望者は)歓迎されると思っていたんですが、そうではなくびっくりしました。他の地域も見てきた方がいいということでした」。しかし、札幌の担い手センターに行って相談してみると、アルバイトで五年もいたのなら富良野で就農しなさいと逆戻り。今度は市役所の担当部署を紹介され、やっと“農作業ヘルパー~研修”という、富良野での就農へのステップを辿ることになる。

stage3 富良野市
JA富良野農作業ヘルパー

ヘルパー時代に貴重な人脈を築く。

JA富良野の農作業ヘルパーは、個室が完備された快適な寮が用意され、食事なども用意されるという非常に恵まれた環境。「これまででいちばん楽な一年でした」というほど。しかし、すでに十分な農業技術を習得し、早くメロン農家として就農したいと考えていた松本さんにとっては、その環境面でのメリットは重要ではなかった。それよりも、ヘルパー時代に色々な人たちと知り合えたことが収穫だったという。JAの役員の方々やたくさんの農家の人たちと知り合えたのもこの時期。その後の相談できる人脈として活かされているようだ。それに加えて、最も重要な出会いがそこにはあった。その後結婚相手となる、ヘルパーの同僚・洋美さんとの出会いだ。

stage4 富良野市
メロン農家で研修

とことん希望する農地を探し求める。

新規就農への最後のステップは二年間の研修。松本さんにとってこの期間は、メロン農家での研修と共に、農地取得という難問との戦いだった。元々「いい農地は簡単に出ないという覚悟はありました」とのことだが、研修二年目になってもなかなか思い通りの農地との出会いはなかった。たまに紹介される農地は、隣近所を聞き回ってみると、やはり何らかいわくつきのもの。時間はどんどん経過して厳しい状況になっていく。しかし妥協はしなかった。「農地を選べるということは、新規就農者の特権ですから」という確固たる考えがあったからだ。もう一年研修をのばそうかと迷い始めた二年目の年末、やっとここだと思える農地に出会う。

stage5 富良野市
メロン農家として新規就農

ヘルパー時代のつながりで、新規就農が実現。

その農地を紹介してくれたのは、研修中に結婚した洋美さんがヘルパーとして通っていた農家の方だった。ヘルパー時代に築いた人脈がなければ出会えない農地だったのだ。近くの住居がセットで紹介されたこともありがたかった。いよいよ2004年春に富良野市東鳥沼で就農。とはいえ春の契約だったため、初年度は10棟のハウスを建てるだけの一年。メロンの収入がない分を、農作業のアルバイトで凌いだ。その後は順調に軌道に乗り、六年目の今年はハウス20棟、1.67haのメロン農家となっている。現在はふらの農業協同組合メロン研究会の理事や、全国土の会富良野支部の役員も務め、メロン栽培や土壌の研究に余念がない。

message 新規就農希望者へ

松本さんがこの取材で自身の体験談を語ってくれたのは、「農業も仕事の選択肢としてあるんだよとわかって欲しい」という思いからだ。農の世界へのあこがれはあるにせよ、それを仕事にすることは到底無理だと思っている人は多いだろう。松本さん自身も農業は世襲じゃないとやれないと思っていた人だ。その人たちに向けて、簡単にあきらめないで欲しいというメッセージを送ってくれている。また、農家の面倒見の良さも強調する。「聞けば教えてもらえますよ」。これは、積極的に行動すれば道は開けるということを意味している。そして最後に一言、「大好きな自然の中で家族と一緒に働ける、こんな恵まれた仕事は他にはないと思っています」と笑顔で締めくくってくれた。

松本農園
富良野市字東鳥沼2
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